腰痛考察7

 

カイロプラクティックケアの優位性について

 

カイロプラクテックの定義とは

 

「筋骨格系の障害が健康全般に影響を及ぼす問題を診断、治療、予防する専門職。

脊椎、関節に対する徒手治療を特徴とし、(サブラクセーション)神経系の働きを妨げ生理学的変調を及ぼすことに注目する」

 

以上の定義および理論のもとに治療を行っています。

 (私見ですが、サブラクセーションは、脊椎および椎間関節の機能異常と解釈を変えています)

 

 

 

 

関節の機能異常が及ぼす健康全般の影響について

 

 ・椎間から出ている神経根が物理的または化学的な刺激を受けることで、異常な興奮をが生じます。その結果、その神経根に含まれる感覚神経、運動神経、自律神経の神経伝達が妨げられる。この影響により、痛みや痺れ等の様々な症状が生じ、筋肉の機能が低下するだけでなく、内臓や器官の機能が低下します。このような状態が長く続き、恒常性(ホメオスタシス)を維持する機能が低下し、その結果、内臓や器官の機能不全が進行し病理的な状態へと移行する可能性があります。

 

・椎間板の変形、椎間孔の狭窄、脊柱管の狭窄、関節突起間関節の関節包の炎症、硬膜の緊張、黄色靭帯の肥厚、椎間孔周囲の骨棘形成、後縦靭帯の骨化等などが生じることで、神経根や中枢神経系に対して、物理的および化学的な刺激が生じる。

 

・椎間孔内の神経組織の周囲で静脈叢のうっ血が生じ、その結果、神経根が圧迫される。

 

・自律神経に異常な刺激が生じることで、頭痛、耳鳴り、めまい、胸痛、胸やけ、胃のもたれ、腹痛、生理不順、不妊、排尿・排便障害、発熱など、さまざまな症状が引き起こされる。

 

・上部頸椎では、頭蓋底の緊張が高まることで、頭蓋内外の動静脈の血行が障害されます。椎骨動脈の走行に問題を起こし、頭蓋内に虚血が生じます。一方で、静脈系では頭蓋からの出口である孔が、頭蓋骨の歪みにより頭蓋内のうっ血が生じ、このような血行障害により、頭痛、耳鳴り、めまい、認知機能の低下、視力低下等の症状が現れます。正しい情報が脳に伝わらなくなることで治癒力が低下します。

 

・脊柱や骨盤では、脊髄神経を経由して交感神経系(血管運動神経)に異常な刺激が原因となり、その分節支配領域に血行障害性の痛み、痺れ、冷え、むくみ、皮膚疾患を生じる。 

 

 ・長時間放置されると異常刺激が断続的に脳に指令を送り続けるため、身体は自己防衛反応として筋肉を緊張させる。

(脳が混乱している状態)

 

 

 

 

 

カイロプラクティックケア/脊椎調整がもたらす健康増進への期待と可能性

 

 

・神経系への異常な刺激を取り除くことで、自然治癒能力を高め、重力負荷による骨格構造の歪みから生じる自然治癒能力の低下を最小限に抑える。

 

・身体の機能を支配している神経系の働きを整えることで、病気の予防と回復を促す。

 

・髄膜の緊張を緩和し、脳脊髄液の還流を促進するとともに、特定部位に集中している重力負荷を分散させる。 

 

・椎間関節の関節包には、感覚神経が豊富に分布していることから、関節機能異常を改善させることにより、過敏になっている神経を回復させることができる。

 

・関節の運動により栄養素の交換を促進し、老廃物の排泄を促す。

 

 

 

脊椎および椎間関節を調整することは、以上に挙げた効果により、各組織や細胞への栄養分の供給、内分泌のコントロール、不要な物質や毒素の排出が促進される。

また、がん細胞など悪性の細胞と闘い、これを消滅させるキラーT細胞も神経によって支配されている。脊椎や椎間関節の機能障害を解消すことで、がん細胞と闘い、消滅させる働きを、体内で維持できるようになります。

さらに、全身の細部まで神経伝達を働かせることにより、健康的な身体の維持・向上が可能となり、その結果、さまざまな病態の可能性を「未病」という状態へと置き換えることができる。

同時に、老化においても病的老化を予防し、生理学的な損失を最小限に抑えることが可能です。 

これにより「サクセスフルエイジング」

つまり、加齢に伴う変化にうまく適応し、幸福で充実した老年期を迎えることができます。

健康的な加齢を実現することで、身体的・精神的・社会的に充実した生活を送ることが可能となります。また、生理的老化という、アンチエイジング効果が期待できます。

脊椎の機能異常を改善させることは、生命、人生に大きな影響を与える、価値あることであり、健康と幸福のために非常に有益な方法であると考えております。

 

(腰痛考察5をぜひご参照ください)

 

 

 


 

 

腰痛考察6

 

産前産後のケアについて

 

産前・産後に脊椎や骨盤の状態を整えることで、その後の骨盤に関連するトラブルを軽減することが可能です。

骨盤が適切に機能しバランスが整っていることは、出産において重要な要素の一つとされています。適切なケアにより、産道や関節の状態を良好に保つことが期待できます。

 

 

施術がもたらす効果

・健康な妊娠の維持

・分娩時間の短縮

・痛みの軽減

・予定外の帝王切開の予防

・姿勢の改善

 

関節を正常に機能させることは、神経、筋肉、血管の栄養循環を促進し安定させるうえで重要であり、産前産後の身体にとって非常に有益です。

 

 

妊娠中および産後の方へのメッセージ

 

産後の骨盤矯正について、関心のある方が多くいらっしゃいますが、出産したからといって骨盤が大きく開いたり歪んだりといった事は、解剖生理学的に考察してもありえません。

ですが妊娠出産により、筋力の低下や骨盤の緩みから僅かに開き、身体のバランスが崩れ不安定になり、誤った生活習慣や初めての子育てに対する不安などから、様々な症状が出現している方が多く見られます。

 

妊娠中は何かと不安になります。不安感が通常の状態より強くなります。

妊娠にともないホルモンバランスが急激に変化していることにも原因にあると思います。

いつもだったら大丈夫なことでも、悩んでしまうことも多いと思います。病院に行ってレントゲンによる被曝は大丈夫かな、薬の服用も心配。

 

例えば、骨盤が歪んでいるとか、背骨がずれているとか・・・ 

 

簡単に背骨や骨盤がずれたり、歪んだりすることはないので、必要以上に考えない方が賢明です。もともと、修復力や再生力が備わっているのです。自分の力を信じましょう。 

 

 

どの程度で骨盤が「ずれている」 

という基準は人それぞれだと思いますが、実際に数ミリ以上ずれることはありません。

 

痛みを回避するために、多少左右に傾いたりバランスが崩れることはあります、妊娠中や産後であればなおさらです。

それを歪みという表現を使うのなら、許容範囲なので適切ではありません。

数ミリ以上の大きな“ずれ”がある場合、それは脱臼や骨折であり、整形外科での治療が必要です。

 

妊娠中は、不安を感じることが増える時期です。

通常であれば問題にならないことでも、心配になることがあるでしょう。

定期的な妊婦検診を受けることは大切ですが、必要以上にネガティブなことを考えるのは避けましょう。

一番大事なのは、「心身ともに健康でいる」ことです。

 

極端な話ですが、臨月でもフルマラソンを走り、無事に出産された方もいらっしゃいます。

妊娠中や産後は身体が特にデリケートな時期ですが、人間の身体は基本的に丈夫にできているのです。 

 

必要以上に、刺激を加えることは、お身体にとって逆効果になることがあります。

妊娠中にさまざまな不調を抱えていた方でも、産後にはほとんど気にならなくなることがよくあります。

ですので、産前産後だからといって頻繁に通院をお勧めすることはありません。1回から数回の施術で十分な効果が期待できます。

 

母子ともに健康で幸せなご出産、そして幸せな産後を迎えられることを、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 


 

腰痛考察5

 

椎間関節が正しく機能することの重要性を解説します。

 

 

1. 栄養と循環の促進

 

椎間関節は滑膜性関節であり、関節包に包まれています。関節包の内側には滑膜が存在し、この滑膜が関節の栄養供給、老廃物や代謝物の排出に重要な役割を果たします。

関節内には直接的な血管が分布していないため、栄養は主に滑液を介して供給されます。滑液は軟骨細胞に酸素や栄養素を届け、同時に老廃物を除去します。

 

滑液(ヒアルロン酸)の分泌

関節が動くことで滑膜から滑液が分泌されます。この滑液は関節軟骨を潤滑し、摩擦を軽減する役割を果たします。また、滑液に含まれるヒアルロン酸は軟骨の弾性を保ち、関節の健康を維持するために必要な栄養供給を助けます。

 

毛細血管の血行促進

椎間関節が正しく動き、機能することで、関節周囲の血流が改善され、関節を構成する軟部組織(靭帯、腱、軟骨、関節包など)や周囲血管の新陳代謝が活発化します。これにより、組織の修復や再生が促進され、関節の機能を正常に保つことができます。

 

 

 

2. 衝撃吸収と安定性

 

重力や体重負荷の吸収・分散

椎間関節は脊柱の動きに合わせて柔軟に動くため、重力や外部からの衝撃を効率的に吸収・分散します。これにより、脊柱全体の安定性を保ちつつ、周辺の骨や筋肉への負担を軽減します。

 

構造的な安定性の提供

正常な関節運動は、椎間板や靭帯、腱、筋肉などの周辺構造を適切な位置に保つ役割も果たします。これにより、脊椎の柔軟性を確保しつつ、負荷を分散、吸収しながら椎骨の動きを可能にし、脊柱全体の正しい形状、整合性が維持されます。

 

 

3. 神経・筋活動の調整

 

反射と筋活動の正常化

椎間関節には感覚受容器が多く存在します。

正しく動くことで、感覚受容器が刺激され、身体の正確な情報が脳に伝わり、反射発生効果により、筋肉の活動が正常に機能します。

これにより、身体がバランスを保ちながら適切に動くことが可能になります。

主に視覚・前庭・体性感覚による情報が脳に伝わらないと、体の状態がわからなくて制御不能の状態になります。

正しい姿勢制御を行うためには、正確なインプット情報(末梢からの感覚情報)に基づく適切なアウトプット(運動制御)が重要です。

 

 

感覚情報の伝達と統合

脳に正確な感覚情報が伝わりやすくなり、感覚統合がスムーズになることで、正確な運動指令が筋肉に伝わり、反射発生効果により筋緊張が緩和し、正常に筋肉が機能します。

 

 

4. 適正な位置と機能の維持

 

椎間関節と周辺組織の相互作用

椎間関節は椎体、椎間板、滑膜、軟骨、関節包、血管などの構造と機能に密接に関係しています。これらの構造が適切に機能するためには、関節の位置が適正である必要があります。

 

関節が硬くなることによる影響

椎間関節が硬くなると、栄養血管循環系や神経系の働きが低下します。その結果、栄養供給や老廃物の排泄が妨げられ、周辺組織に炎症や痛みを引き起こす可能性があります。

 

 

5.身体全体への影響

 

「動きやすい、動きたくなる体、快適な体」をつくる

関節の動きがスムーズであると、体が自然に動きやすくなります。これにより、日常生活の活動量が増え、全身の血行や代謝が向上します。

 

運動機能の向上

正常な椎間関節の動きは、身体全体の運動パターンの改善につながります。これにより、怪我の予防やスポーツパフォーマンスの向上が期待されます。

椎間関節が正しく機能することで、関節の位置が適正に保たれ、体は動きやすくなると同時に、自然と動きたくなる状態へと変化していきます。

 

 

関節の位置を適正化するには、関節の動きを正常に機能させることで、結果的に歪みが傾きが改善するのです。 

(前述した『腰痛考察2』をご参照ください)

 


 

 

 

腰痛考察4

 

 

近年注目されている、椎間板に対する低負荷・低侵襲手術の概要をまとめました。

 

 

 

1.PLDD(経皮的椎間板減圧術)

レーザーで椎間板内を蒸散させ、内圧を減圧する。

飛び出した椎間板を引き戻す。

日帰り対応可能。

重度な椎間板変性には適応外。

 

2.ディスコゲル治療

椎間板に注入し、髄核を溶かし内圧を下げる減圧治療。

化学薬品を用いて椎間板内の水分を吸収し固化する。

主成分:エチルアルコール(組織破壊)、セルロース、タングステン(レントゲン映像用)。

若年性患者に適応。効果は3ヶ月後から現れる。

 

3.DSTディスクシール

パンク修理のように椎間板を補修する。きご

PRP(血小板成分)やヒト由来のタンパク質で炎症を抑え、機能を改善。

椎間板が薄くなった中高年向け。日帰りで実施可能。

 

4.セルゲル法

インプラントを用いて椎間板を修復し、減圧治療を行う。

 

5.フローレンス法

デバイスを椎骨間に挿入し、約3~4週間後に効果が現れる。

軽い運動は1ヶ月後から可能。精神疾患のある患者は適応外。

 

6.ヘルニコア

椎間板ヘルニア(腰部)のみに対応。一箇所一回限りの治療。

椎間板内に酵素を注入し、タンパク質を溶解する。

 

7.DRT(椎間板再生治療)

椎間板再生を目的とした治療法。

 

 

 

最近増加している椎間板ヘルニアや椎間板症に対し、これらの低侵襲手術法が注目されています。これらの治療法が保険適用となり、経済的負担が軽減されることを期待します。

最大のメリットは、身体への負担が少なく、低侵襲で行える点にあります。これらの治療法は、炎症を抑えるだけでなく、椎間板の修復を促進する効果も期待できると考えます。

 

 

現在の問題点としては、以下の点が挙げられます。

 

・自費診療であるため、費用負担が大きい。

・比較的軽度の椎間板変性や若年者に適しているように見受けられますが、効果に対する不確定要素が大きい(これは私の個人的な見解です)。

・クリニックで行われる術前・術後の画像比較において、同じ撮像部位が紹介されていない場合が多いように感じます(少なくとも私にはそのように見えます)。 撮像部位がわずかにずれるだけでも、見え方が大きく異なる場合が多いです

 

 

 

いずれにせよ、保険適用が進み、低負担で受けられるようになることで、多くの腰痛患者が救われると考えます。今後の技術の発展と普及に期待したいところです。

 

 

※今回の内容はインターネット上の情報をもとにまとめたものです。そのため、解釈の違いや重複する内容が含まれている可能性があります。あらかじめご了承ください。

 


 

 

 

腰痛考察3

 

椎間板について

 

椎間板は、体を支える要素で最も重要であり、脊椎を構成し運動性と衝撃吸収を担う重要な要素です。

体を支え、動きを助ける役割を果たします。椎間板の基本的な構成、機能、変性、そして問題点について包括的に解説します。

 

 

キーワード

腰痛に最重要・重力負荷・減圧・除圧・睡眠・経年劣化・化学的炎症変化・神経周囲炎症鎮静化

 

 

1. 椎間板の構造と役割

体重を支え椎骨から、次の椎骨へ負荷を伝達する。

クッションのような役割を果たし、衝撃吸収や荷重分散を担う。

 

構成要素 髄核・線維輪・背椎端板

髄核 椎間板の中心に位置するゼリー状の部分。主に水分とプロテオグリカンが多く含まれ、柔軟性と圧力分散。圧が加わった場合は変形するが容積は変わらない。水分含有量が多い。

線維輪 髄核よりも水分含有量が少なくコラーゲンが多い。髄核を包み安定性を保ち、前方の滑りに対して抵抗。コラーゲン線維は円状に層をなしており、それぞれの層が異なる方向に配向することで、外部からの力に対する強度が増す。

脊椎端板 椎間板の上端と下端にある、0.6~1mmの軟骨層。骨髄腔内の血管から栄養物拡散を促進し、椎間板に栄養供給する。 

 

 

水分:椎間板の主要成分で、弾力性を保つ役割。

プロテオグリカン:水分を保持する能力を持つ。親水性

コラーゲン:椎間板の機能と構造を支える線維。強度をもち、外部ストレスに対応。

 

椎間板のイメージ例:タイヤやゴムパッキン、シリコンパッドのようなクッション性を持つ構造。

 

機能

長軸方向の荷重を分散し、圧力を均等化。

動きに合わせて柔軟に形状を変え、負荷を吸収。

 

 

 

2. 加齢と椎間板の変性

 

加齢による経年劣化、退行変性が起こり、水分保持能力の低下。コラーゲンの張力が低下し硬化。椎間板の機能が低下。

水分が減少すると、弾力が失われ硬化が進み、消耗、摩耗、劣化、萎縮。

 

構造的変化

摩耗・劣化・萎縮・変性・変形により椎間板が薄くなり、椎間腔が狭小化。

 

物理的な影響

椎間板の膨隆(椎間板変性)

椎体のすべり(腰椎すべり症)

骨棘(骨の突出)や黄色靭帯の肥厚により、周囲組織を圧迫(脊柱管狭窄症)

 

炎症の発生

化学的炎症反応により、神経周囲が刺激される。

血流障害(鬱血、停滞、浮腫)や骨髄浮腫が起こりやすい。

 

 

 

3. 痛みや症状のメカニズム

圧迫と刺激

椎間孔や脊柱管の狭小化により、神経が圧迫。

血管や神経、靭帯が影響を受け、疼痛を引き起こす。

椎間関節、腰椎不安定により関節包感覚受容器の興奮が高まり疼痛。

 

神経血管の影響

不良姿勢や長時間の同一姿勢、反復動作による機械的刺激。

急性または持続的な負荷が神経や血管を緊張させ、炎症を増悪。

 

椎間板終板障害

終板(椎間板と椎体を結合する部分)の障害により、骨髄浮腫や脂肪変性、骨硬化が発生。

 

 

 

4. 椎間板を守るための対策

減圧・除圧

椎間板へ垂直荷重・重力負荷を軽減することが重要。

 

良好な姿勢を保ち、長時間の同一姿勢を避ける。

睡眠を大事にし、臥床時間を多く確保することで、長軸方向の荷重を分散、圧力を均等化。

 

血流改善

ストレスが少なく継続しやすい低負荷な運動を習慣化し、体液循環を促進させる。血流を促進する軽い運動やヨガ、ストレッチが有効。

鬱血や浮腫を防ぐため、適度な休息と活動のバランスが必要。

 

 

リスクがあること

不良姿勢、反復動作、長時間の同姿勢、過度な運動、繰り返しの機械的刺激。

 

 

 

 

まとめ 

 

椎間板変性に始まり、物理的変化が起こる。 骨変形、ヘルニアなどの構造物狭小化により、圧迫というより圧力がかかることで、栄養循環低下、炎症増加。 そこに機械的刺激ストレスが加わり、化学的炎症が惹起される。 

 

 

椎間板の健康状態は、全身の健康(自律神経の働きに影響)や動きに直結しており、特に腰痛に大きな影響を及ぼします。

加齢による経年劣化や退行変性は避けられないものの、適切なケアや生活習慣の改善によって、その進行を遅らせたり、症状を軽減することが可能です。

姿勢の改善や体重管理により、椎間板にかかる圧力を減らし、形状的な構造変化を最小限に抑えることが大切です。

また、症状を改善させるためには、物理的な圧迫よりも化学的炎症を抑えることが重要です。椎間板周囲の炎症を鎮静化することで、痛みや不快感を軽減できます。

 

 


 

 

 

腰痛考察2

 

 

 

「ずれていますか?」と聞かれることがありますが

 

歪みは結果や現象であり、歪みが必ずしも痛みを伴うわけではありません。その現象には原因があり、その原因を理解することが重要です。

例えば、動作や姿勢の偏り、不適切な体の使い方、または活動不足による椎間関節の機能低下や固定が挙げられます。

さらに、感覚の低下によって情報が脳に正しく伝わらず、中枢である脳が身体の状態や姿勢を正確に把握できなくなることもあります。

これにより、制御不能な状態になり、器質的な構造変化が神経を刺激したり、疼痛回避のための不適切な姿勢や動作を強いられることが原因となり、結果的に身体が傾いたり、歪んだ感覚を覚えることがあります。

したがって、外部からの力で「ずれ」や「歪み」を矯正するだけでは、根本的な問題の解決にはなりません。

 

仮に「歪み」があるとしても、多くの場合、それは身体が状況に適応し、最適化している結果と考えるべきでしょう。

この最適化をさらに良くするためには、関節の動きを正常に保つことが重要です。これにより、歪み、正確には傾きを修正することができます。

歪みやズレを過度に気にしないことが、精神的な安定にとっても良い影響を与えるでしょう。  

 

 

 

背骨は24個の椎骨で構成されており、さらに後頭骨や仙骨もあります。各椎骨、後頭骨、仙骨が少しずつ動くことで、全体として滑らかで調和の取れた動きを生み出します。

腰痛が発生する場合、こうした小さな動きが制限され、背骨全体のしなやかさが失われるため、腰に負担がかかるのです。

このように、関節の適切な動きと柔軟性を保つことが、最適な運動機能を得るための鍵となります。

そしてこれにより、長軸方向の荷重を分散し圧力を均等化させて、良い椎間板の状態を保つと共に、神経筋骨格系の問題を解決する助けにもなります。

 

 

 

一般的に身体が歪む要因としては、次のようなことが考えられます。

 

・動作や姿勢、体の使い方の偏り

疼痛回避のための姿勢変化

・構造的・物理的な器質的変化や変形

・活動不足による神経・関節機能の低下や固定

・姿勢制御に関わる神経機能の低下

・先天的な異常

 

 

 

骨の「ずれ」と矯正について

他動的に骨の「ずれ」を矯正するという考え方は、これらの要因を十分に理解せずに行うとリスクを伴います。特に加齢に伴う経年劣化や退行変性は、ほとんどの中高年で避けられない現象です。

 

 

【加齢による組織変化の例】

 

関節内の変化

・グリコサミノグリカンや水分含有量の低下

・コラーゲン線維間の分子間架橋の増加

・関節内での癒着や筋の短縮

 

軟骨の変化

・軟骨面に線維脂肪性結合組織が付着し、萎縮や菲薄化

・靭帯や結合組織の弾性低下、劣化・硬化

・靭帯や腱の断裂のリスク増大

 

滑膜関節内の変化

・線維脂肪性結合組織の増殖

・滑膜ヒダどうしの癒着

 

リスクと注意点

こうした組織変化が進行している場合(ほとんどの中高年で見られる)、安易な矯正を行うことで、癒着した軟骨面が断裂するなどのリスクがあります。そのため、慎重な判断とアプローチが求められます。

 

 

 

歪みを「治す」、正確には傾きを改善するためには、

自分の体の状態を把握し、関節の動きを正常に機能させ、関節や椎間板、骨格に負担をかけない環境を整え生活習慣を見直すことが重要です。 

 

 

 

 

 


 

 

 

腰痛考察1

 

椎間板について

 

 

腰痛を考察する上で、椎間板の存在とそれに対する重力負荷は非常に重要な要素となります。

椎間板に対する変化や問題として、以下の流れが挙げられます。

 

【椎間板の変性プロセス】

1. 不適切な負荷の繰り返しや経年劣化

2. 水分の消失・劣化・損傷

3. 摩擦、炎症、萎縮の進行

4. 修復反応の発生

5. 痛みや痺れの出現

6. 保護・防衛反応としての筋緊張

7. 慢性腰痛へと発展

 

 

 このような変性が進行すると、次のような変化が生じ、腰痛になる確率が高くなります。 

 

・椎間板へのさらなる負担と加齢による影響

・筋肉の過剰な緊張

・炎症性の痛み

・異常な椎間板へのストレス

・筋緊張の慢性化

・腰椎の不安定化

・椎間板の変形・狭窄の進行

・神経障害の発生

・神経障害による痛みや痺れ(知覚異常・運動麻痺など)

 

 

結論

 

以上が、椎間板変性の進行プロセスです。椎間板の変性が起きない限り、変形や狭窄、すべりといった問題は基本的には発生しません。そのため、椎間板に対する適切なアプローチが非常に重要であるといえます。

腰痛を考察する上で、椎間板と脊髄神経硬膜枝、それに対する重力負荷はとても重要なキーなります。